てりとむくり

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「てり」とは「照り」で反りのことを表し、「むくり」は「起くり」で緩やかな起き上がりのことをいう。どちらも建築用語では屋根の形を言い表す言葉だ。

日本において「てり屋根」は神社仏閣・城郭などの大きな屋根でよく見かける。それに対して比較的小さな屋根は「むくり屋根」であることが多い。

そもそも日本の木造建築は中国大陸から技術が伝えられてきたが、中国大陸の歴史的建造物や伝統的な住居の屋根のほとんどが「てり屋根」であり「むくり屋根」はほとんど目にしない。つまり「むくり屋根」は日本独自の屋根といえるのだろう。

さて、この「てり」と「むくり」凹曲と凸曲、基本的に相反する性質が融合した形の屋根が日本で発明された。「唐破風」である。あの銭湯や和風旅館の正面についている屋根だ。「唐破風」に至っては世界中でこんな屋根をつくるのは日本人以外に知らない。

だから、いわゆる和漢折衷ともいえる日本人の造形感覚から生まれた「唐破風」は、近代においてもなお日本全国に現れた擬洋風建築に和の要素として使われ続けたのだと思う。

今では、居酒屋の玄関庇に飾りとして取り付けられたりする唐破風だけど、「てり」と「むくり」の融合という視点から眺めると唐破風も違った見え方がしてくる。
唐破風は、シルクロード終着点に相応しい、様々な文化の融合が試みられた日本独自の、日本が発明した世界に誇れるかっこいいデザインなのだ。

写真は、現在建設中のTHE KAWABUN NAGOYAのメインエントランス唐破風。

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